サイトのコンテンツが充実してくると、ユーザー自らがサイト内を検索し、ユーザーが欲する情報をすぐに探せる「サイト内検索」。
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今回、クライアント案件で、WordPress で構築された BtoC のメディアサイトに「サイト内検索」を設置する機会がありました。
WordPress を普段から使い慣れている方であれば、何てこと無い機能の実装ですが、Web 制作サイドとしての設置前から設置後までの一連の考え方について、初歩的な内容でもありますが、自分用のメモとして残しておきます。
(実装方法については多くのサイトで紹介されているため省略します)
サイト内検索の実装方法
サイト内検索としてすぐ思いつくのは以下の選択でした。
- WordPress 標準の検索
- Googleカスタム検索を利用する
自前で開発
機能面や設置の手軽さでは WordPress 標準の検索よりも有能な「Googleカスタム検索」の一択なのですが、以下の事由で WordPress 標準の検索(実際はその機能のカスタマイズ)を採用しました。
WordPress 標準の検索仕様を選んだ理由(Googleカスタム検索を利用しない理由)
サイトブランドと品質の維持
Google 社の Googleカスタム検索を利用するには、同社の利用規約の同意が必要です。それによると、予告のないサービスの終了、同社提供の表示義務、広告の表示(無料エディションの場合)、同社の情報権の保有といったものがありました。また、外部のエンジンを利用するということは、エンドユーザーからの検索クエリを外部に転送することが前提にあります。
自社サイトであれば運営も含め、自社の責任範囲ですが、これらの規約はサイトオーナーにも同意を得る必要があります。突然終わるかもしれない外部サービスや、広告が表示される(無料エディション)ことなどは、クライアントのサイトブランドと品質維持を考える上で、しっかり判断すべき要素だと考えます。
サイトの完全なデザイン統制とカスタマイズ
Googleカスタム検索においても、デザインのカスタマイズが可能ですが、サイトデザインを統制する点と、対象のサイトは記事がカテゴリ別に正しく整理されており、検索結果にもカテゴリ名を表示したいなど、出力の自由度を求めると、WordPress 標準の検索の方がカスタマイズの幅が広がると考えます。
WordPress プラグインの設定に準拠
SEOのために各種プラグインを導入している場合、これらの設定は、WordPress にビルトインされる Search Page に関する引数に準拠して作られているものがほとんどです。
WordPress 標準の検索では、後述する SEO 関連の設定を一元化できるメリットがあります。
一方で、検索パフォーマンス(表示速度)は今後増えるコンテンツにおいて評価すべきポイントですが、パフォーマンスはサーバーのスペック、負荷、DBのチューニングなど複合要素で判断する点でもあります。現時点ではコンテンツ量と増加傾向において問題のない範囲であると判断しました。
続いて、サイト内検索の設置後に行う各種設定です。
「All in One SEO Pack」による設定
WordPress SEO 対策プラグインといえば All in One SEO Pack を導入されている方も多いと思います。
SEO 対策に関しては検索エンジンの特性もあり、多方にわたる見解があるため、このプラグインについて言えることのみを記述します。
サイト内検索ページの noindex
一般的に、サイト内検索は個別ユーザーのために提供される機能であり、この「検索結果」として生成されるページが Google などの検索エンジンの対象になるべきではないとされています。
ユーザーが検索エンジンを利用し、結果から辿った先もまた、サイトの検索結果であることは UX の低下を招くからです。
このため All in One SEO Pack では、検索ページを noindex とする設定があります。チェックを入れることで、WordPress の検索ページは、検索エンジンの検索対象となりません。
サイト内検索ページのタイトル
前述の noindex とは反する内容ですが、検索結果だけではなく、オリジナルのコンテンツを付加するなど、サイト内検索の結果ページがユーザーにとって有益なコンテンツである場合は、結果ページを検索エンジンに登録させるケースもあります。
All in One SEO Pack では、サイト内検索(結果)ページの「タイトル」を個別に設定できます。タイトルを工夫したい場合はこの設定を行います。
規定値では「検索キーワード | サイトのタイトル」となっており、Google と同じ形式です。
「Google Analytics」の設定
サイトのアクセス解析に Google Analytics を導入している場合、ユーザーがサイト内検索に使用したキーワードを取得・集計し、解析することができます。
これにより、ユーザーはサイトに何を求めて(検索して)いるのか、また結果からどのページに移動しているのかを把握する手助けとなります。
(詳しくは『サイト内検索のデータに関する 5 つの質問 – アナリティクス ヘルプ』)
Google Analytics の設定
対象となるアカウントのウェブサイトのデータから、画面右上の ①アナリティクス設定 を選択し、②ビュー設定 からレポート ビュー設定に切り替えます。
画面下部にスクロールし、③サイト内検索の設定 を次の通りに設定し、最後に ④保存 します。
(WordPress の検索に使用する標準クエリパラメータは「s」ですが、この値はサイトオーナーに確認してください)
サイト内検索のトラッキング:オン
クエリ パラメータ:s
サイト内検索のキーワードを取得するだけであれば、この設定を保存し、約48時間以内に結果が取得・集計可能です。
レポートは、Google Analytics の [行動] – [サイト内検索] より閲覧できます。
利用するサービスの選定で考えること
WordPress のような CMS をはじめ、プラグインなどの普及により、機能開発の実装にかかる時間が大幅に短縮されました。その分、本来の機能開発よりもインターフェイスや検索結果をいかに見やすいものにするかといった工夫に時間をかけることができます。
CMS だけでなく、Google が提供するカスタム検索や Analytics も、制作サイド・クライアントの両方に有益なツールであることは言うまでもありません。便利な外部サービスやプラグインはすぐに手を伸ばしがちですが、採用にあたっては利用規約や運営手法についての合意をしっかり取っておくことも忘れてはなりません。